灰色の約束

ゲームってときどき真実を穿つよね

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おおかみこどもの雨と雪 感想

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映画見てきた.
なんかジンときた.とても面白い作品だった.すごく面白かった.
でも何が面白かったのか,よくわからない.不思議な作品である.

どこかの映画評論家が言っていた通り,確かに”引き”の画が多かった.それによる状況説明がなされていて,自然に感じられた.
また,ボロ家を掃除していくと,ガラスの模様やタイルの綺麗さが現れ,無言ながらそこに気づくシーンが印象的だった.

一方で,キャラクターの顔が超カエル顔で,ブヒれなかった.
さらに,事前にネット等で聞いていた,監督の言う”エロさ”は感じられなかった.セックスシーンだって,エロいアングルではなかった.がっつり狼の姿でのセックスはショッキングではあったものの,「ああ,寝たんだ」というのがわかるだけだった.誰でも見られることへの配慮だろうが,果たして監督の言うエロさがどこにあったのか,理解できなかった.
あと,年子を孕ませるとは流石狼.ケダモノですな!鬼畜狼www


雪については,ありがちな些細な日常が丁寧にまとめられている印象を受けた.成長に伴う様々な心の変化を垣間見ることが出来る.自分の立場を理解しながら現実社会と折り合いをつけていく様子を見ていると,富野が絶賛したのも頷ける.

雨については,最後に大いに不満が残った.それは,自分の親に対してあまりにも冷淡ではないかということ.主人公は明らかに怪我をしていたし,その理由が雨を探していたからだということ,10歳といえど流石に察することが出来るだろう.それに対する雨の行動が,地面に放置してそのまま去ろうとしたというもの.狼としては一人前でも,これは人間としてあまりにも未成熟ではないか.恩とか義理とかが全く行動に感じられない.人間であることは完全に捨て,本物の狼として生きることを選択したと解釈できるが,彼の自分中心な振る舞いには苛立った.
しかしこの怒りも第三者からの視点としてである.これが,親として「雨の野郎なんだあの態度は」と怒るのはどうなんだろう?主人公は子供には一切見返りを求めてはいなかった.子供に子育ての感謝を求めるのは,見返りを求めることと一緒なのだろうか.この作品を見ていると,子に見返りを少しでも期待するのは,違うのではないかと考えてしまった.これは人の親になってみないとわからないかもしれない.

他にも,「鬼女ならなんて思うだろう」と思うようなところはたくさんあったけど,映画を皆が楽しむエンタテインメントとしてとらえると,文句ない展開だろう.

声優について.主人公の花は宮崎あおい.狼男は大沢たかお.他にも俳優,女優を声優に起用している.それほど違和感は感じなかったが,それでもやはり林原めぐみの声と比べると,若干”浮いている”.広告塔が欲しいのはわかるが,自信があるならやはり中身で勝負してもらいたい.なぜわざわざ自分から評価を下げる点を作るのだろうか?自然な演技が欲しいなら,その演技ができる声優を探せばいい.舞台経験者とかだとたくさん居る.なのにどうしてゴミの山を漁るのか.ここが理解できない.

韮崎のおじいちゃん,良いキャラクターだったね!

とまあ,色々思うところもあったけど,文中でもあんまり褒めてないけど,この映画は間違いなく特A級の逸品である.
この映画を見終わって最初に浮かんだ感想が「また見たい」であった.こんなふうに自然に思えることは滅多にない.面白い.何故だか分からないが,とにかく面白い.
何度でも劇場に足を運んで見たい作品だ.

おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)おおかみこどもの雨と雪 オフィシャルブック 花のように